梅雨明けで暑さ到来。和菓子だと水羊羹が涼しげですね。
「水羊羹」をご紹介します。

『和菓子の世界』より
 暑さが厳しくなれば、のどごしもさわやかな水羊羹に涼を求めたくなる。水羊羹は通常の羊羹よりも水分が多いものだ。夏の定番菓子として人気があるが、(略)水っぽく、やわらかい羊羹の意味合いが強く、今のように冷やして食べる涼しげなイメージはなかったと思われる。虎屋ほか一部の菓子屋で作られていたものの、『古今名物御前菓子秘伝抄』ほか、有名な菓子製法書にその名は出てこない。
 江戸時代の水羊羹は葛を使ったものが主流とされるが、量産化や品質管理の面から、昭和以降に寒天を使った缶入りやパック入りのものが開発され、夏の贈答にも利用されることが多くなった。抹茶、白餡、黒砂糖、桃、苺など、その風味も様々である。
 水羊羹は夏の季語になっているが、冬に水羊羹を食べる地域もある。福井県がその代表で、弁当箱のような四角い紙箱入りの黒砂糖風味の水羊羹が名物だ。口当たりも良く、さっぱりした感じで、冬の観光土産になっているという。これにならってか、近年冬に水羊羹を作る店も若干増えたようだ。

事典『和菓子の世界』中山圭子氏〜より「水羊羹」から紹介しました