遣隋使がもたらしたものは数々あるが、祝儀袋などに欠かせぬ水引もそうらしい。小野妹子が帰朝した際、随の答礼使からの贈り物に紅白の麻紐が結ばれていたことが始まり、とされる。公開の無事と平穏を祈ったものという。この知識は長野県の飯田水引協同組合のホームページに教えてもらった。
 飯田市は日本一の水引の産地である。水引も単に華やかな和紙の紐と思っては間違いで、多彩に編み上げられる水引細工は芸術品だ。長野五輪の記念品やパラリンピックの入賞者に贈られた月桂冠は、飯田水引で作られていた。2016年の五輪招致をめざす宝船の水引細工が届いた。飯田の職人10人が3カ月をかけた縁起物である。東京五輪・パラリンピックのシンボルマークが五輪の水引をデザインしていることもあって、招致熱は東京以上と聞く。(略)


読売新聞2009年3月15日〜編集手帳〜より記事の前半部分を紹介しました