なぜ相模原で酒まんじゅうが人気なのか。尋ねてみると「水田が少なく小麦粉栽培が多い山間部で生まれた食文化」だという。なるほど。
取材先ではいつも麹の香りが漂った。どの店も昔からの製法のまま。材料にこだわり、麹を発酵させるのも店でやっていますという職人気質ばかり。冬の食べ物と思っていたが、5〜11月が“シーズン”。気温が低いと発酵に時間がかかるのと、祭り(夏・秋)に欠かせないためで、「冬場は作っていません」という店も多い。手間暇がかかるがそれも“もてなし”の一つ。各家庭で冠婚葬祭に必ず出され、客人へのおみやげにもされた。(略)
 次の日には硬くなるが、それを蒸したり焼いたりして食べるのも「酒まん」の流儀。同じ材料でも作り手によって味はそれぞれ違う。食べ比べをして好みの味を探してみよう。

神奈川新聞2009年1月26日〜懐かしの味相模原の酒まんじゅう《取材を終えて》〜より紹介しました