長野県飯田市の国の名勝「天竜峡」では、高さ約10メートルの巨岩「樵廡洞」に少なくとも63本のくさびが打ち込まれているのが確認された。
 「樵廡洞」は天竜川右岸に面し、ひさしのように90度以上の角度で傾斜している部分もある。危険なため普段から周囲には立ち入り禁止になっている。くさびは今年3月、地元住民が見つけ、市に通報した。岩の下部から頂上まで約10メートルにわたって打ち込まれ、中にはさび付いたものもあった。「樵廡洞」には軟らかい花こう岩も交じっていることから、くさびを抜くと崩落する恐れがある。市は文化庁に、「毀損届」を提出し、対応を検討している。市によると現場付近でのクライミングの目撃情報は寄せられていない。(略)天竜峡は飯田市を流れる天竜川の峡谷で、1934年に国の名勝に指定された。長野、愛知、静岡の3県にまたがる天竜奥三河国定公園内にあり、自然公園法で特に警官の保護が定められている第1種特別地域にも指定されている。

毎日新聞2016年6月29日〜名勝岩肌にくさび 文化庁が緊急調査「打ち込み63本長野「天竜峡」(湯浅聖一氏による)〜より紹介しました