目を楽しませる美しい色遣い、ほのかで優しい甘み・・・
一年の幕開けを彩る和菓子の楽しみ方を、全国和菓子協会専務理事の藪光生さんに伺いました。
 「花びら餅は、宮中の新年お祝い料理の一つである菱葩が、茶席の初釜の和菓子へと変化したものです。また、新年の歌会始の御題を頂いた『御題菓子』も、菓子職人の技や感性が表れる品で、それぞれの店の個性があります」。(略)
 現在親しまれている和菓子が多く誕生したのは江戸時代。京都と江戸が競い合うようにして技を磨き、互いの菓子文化が発展を遂げたのもこの時期でした。ところで、和菓子には今も東西で若干の違いが見られるそうですね?
 「生菓子で使われる材料が関西では『こなし』、関東では『煉切』と異なりますし、菓子の意匠も関西では季節の色を重視して形は抽象的なのに対し、関東は花のしべや葉脈を表すなど具象的表現が多いですね。和菓子は各地に郷土色豊かなものがありますので、趣を感じて召し上がっていただくのも楽しいですね」
 ほかにも春の草餅や桜餅、夏の水ようかん、秋のクリの菓子など季節を感じる甘味があります。今やとらやパリ店もフランス人で大にぎわいとか。世界に誇る繊細な和菓子で、日常をはんなりさせてみませんか?

毎日夫人2016年1月号〜和菓子ではんなり(文・寺島知春氏による)〜より紹介しました