山岳救助隊員の活躍を描いた人気漫画「岳」の主人公・島崎三歩が、長野県山岳遭難防止対策協会(遭対協)の特別隊員に任命されることになった。同県の山岳遭難防止啓発キャラクターとして、安全な登山や山の環境保全を呼びかける。
 「岳」は、小学館ビッグコミックオリジナルで昨年まで連載された。ボランティアで遭難救助にあたる遭対協隊員島崎三歩が豊富な登山経験を生かして遭難者を救う人間ドラマ。2008年のマンガ大賞を受賞し、小栗旬さんの主演で映画化もされた。昨年の同県の遭難者は261人(10月21日現在)で過去最多を更新した。山岳会に所属しない初心者も多く、同県が「三歩さんのメッセージならば、登山者の心に届く」と協力を要請した。著者の石塚真一さんも「遭対協の活動のおかげで作品が生まれた。人命救助に貢献できる」と無償で応じた。
 3月にも阿部守一知事が特別隊員の任命書を、石塚さんに手渡す予定だ。キャラクターをあしらったポスターやチラシ、看板を作って全国のアウトドア用品店などに配布するほか、啓発DVDの制作も計画している。

読売新聞2013年1月26日夕刊〜遭難防止に「三歩」出動〜より紹介しました