長野県南端の遠山郷(飯田市)で昨年11月、温泉水を利用してトラフグを養殖する事業が始まった。山深く、スタジオジブリの映画「千と千尋の神隠し」のモデルにもなった伝統の「霜月まつり」などで有名な秘境。これまで名物の食べ物と言えばジンギスカンなどに限られていたが、フグを新たな名物に育てたい考えだ。
 「ドラフグもさぞ変わったところに来たと思っているに違いない」。昨年11月11日、飯田市幹部のあいさつが笑いを誘った。遠山郷(旧南信濃村、上村)は市町村合併で2005年からは飯田市に属し、JR飯田駅から車で1時間はかかる山の中にある。この日、市の外郭団体、飯田市南信濃新興公社が運営する日帰り温泉「かぐらの湯」の隣接地に設けたビニールハウス内の直径2メートルの水槽2つに、合計200匹強の稚魚が“放流”された。(略)

日経MJ 2012年1月30日〜観光・街づくり わき出す地域パワー・長野県飯田市(松本支局長長沼俊洋氏による)〜より紹介しました