夏目漱石の好物だったというピーナツを練り込んだぎゅうひ、森鷗外の作品「雁」にちなみ鳥をあしらった練り切り。多くの文豪にゆかりのある文京区本郷で、地域のブランドイメージを確立しようと、「文人スイーツ」が次々と誕生している。
 本郷にある和菓子店・喜久月。店主の栗田さんが作った和菓子が並ぶ。もともと栗田さんが発案した「漱石」に加え、この秋、鷗外と樋口一葉の商品が新たに販売されることになった。漱石と鷗外は本郷にある東大OB、一葉は住民だった。プロデュースしたのは、地元NPOと区、東大による、本郷地域のブランド構想を行うプロジェクト。「文人の街、本郷」を掲げ、魅力発信の第一弾としてスイーツ開発を8月から開始。本郷に住んでいた文人のエピソードや作品からキーワード表を作り、それを元にした商品作りを栗田さんらに依頼した。
 スイーツ開発の中心で、NPO「街ing(まっちんぐ)本郷」の代表理事・長谷川さんは「スイーツで終わらず、今後は文人弁当なども作っていきたい。食べ物をきっかけに、本郷を散策してもらえれば」と話す。
 文人スイーツは今後7種類が出そろう。30日に本郷台中学校(本郷2丁目)で開催される「本郷いちょう祭り」でも販売される予定。値段は1個150円〜200円程度。問い合わせは「街ing本郷」へ。

朝日新聞2011年10月2日〜漱石や鷗外 文人スイーツ(松本千聖氏による)〜より紹介しました