秋の彼岸の食べ物と言えば、和菓子のおはぎが有名です。あんこに使われる小豆の粒が秋に咲く萩の小さな花に似ているとして、古くは「萩の花」とも呼ばれました。春の彼岸にも食べますが、こちらは春に咲く牡丹にちなんでぼた餅と呼ばれることもあります。
 いつごろから食べられるようになったのかはっきりしませんが、鎌倉初期の「宇治拾遺物語」には、おはぎとみられる「かいもちひ」が登場します。江戸末期の風俗誌「守貞漫稿」には、彼岸に近所へ配ると書かれており、江戸時代には彼岸の食べ物として庶民にも定着していたようです。全国和菓子協会の藪光生専務理事は「小豆の赤色に悪霊を払う力があると信じられているため、先祖を供養する彼岸と結びついたのではないか」と話しています。(略)

読売新聞2010年9月21日〜はじまり考 おはぎ 江戸期以降、彼岸の食べ物に(出口太記者による)〜より紹介しました